歯科領域と全身の健康状態とは密接な関係があり、肩こり、偏頭痛や腰痛など不定愁訴を中心に歯科領域から全身へのアプローチが盛んに行われています。
 そこで、難治性とされる成人型アトピー性皮膚炎を中心に咬合を中心とした歯科領域での対応を通しての症例をあげています。




現病歴
2年以上前、顔面と背部に皮疹が発生、以後ステロイド外用薬を中心とした治療を受けるが軽快せず、むしろ悪化。
現症
顔面から上肢にかけて皮疹が著明、ソウ痒感も著しいが、浸出液は少量であった。(図8a)

図8a 初診時皮疹所見 図8b 歯科治療約5ヶ月の皮疹所見

検査所見
皮膚科にて実施したバッチテストでは、コバルトとニッケルは陽性だったが、水銀は陰性であった。血液検査ではIgE抗体価は上昇しておらずアトピー素因はみられなかった。毛髪分析では水銀値が高値であった。
処置と
治療経過
毛髪分析で水銀値が高値だったため、口腔内に装着されたアマルガムをすべて金合金とグラスアイオノマーセメントで置換した。その結果、約5ヶ月後には皮疹は著明に改善、ソウ痒感も激減した。(図8b)