歯科領域と全身の健康状態とは密接な関係があり、肩こり、偏頭痛や腰痛など不定愁訴を中心に歯科領域から全身へのアプローチが盛んに行われています。
 そこで、難治性とされる成人型アトピー性皮膚炎を中心に咬合を中心とした歯科領域での対応を通しての症例をあげています。




現病歴
小学校の頃発症、その後、漢方療法などで軽減していたが、約2カ月前に急激に悪化、顔面全体から頸部、胸部に皮疹が拡大し、約1ヶ月前から皮膚科にて投与されたステロイド軟膏を塗布していた。塗布により皮疹は消失するが再発し、再発時にはより多くの軟膏を必要としたため、恐ろしくなり、ステロイドからの離脱を希望し、来院。
現症
顔面、胸部、後頸部に乾燥性皮疹が分布し、痍痔感が強い(図6a)

図6a 治療前の皮疹所見 図6b 治療約1ヶ月後の皮疹所見
図6c 治療約2ヶ月後の皮疹所見

口腔内所見
歯周組織および口腔粘膜に異常所見はみられなかった。
治療方針
低位咬合が疑われたため、ソフトスプリントによる咬合改変を行い、漢方エキス剤および補湿剤を併用した。
治療結果
約1ヶ月後に離脱症状がピークに達した。(図6b)その後症状は急速に改善し、約2ヶ月後には著効を得(図6c)、その後再発していない。